2013年 03月 31日
マタギ旅 |
週末、山友達のお誘いで、秋田の阿仁地区へ行ってきました。
ここはマタギ発祥の地で、現在でも少ないながらマタギとして狩猟を行い、その伝統や文化を守っていこうとしている人たちがいます。
今回、熊谷達也のマタギ小説に感化された友人がJRのマタギ体験ツアーを見つけて申し込んでくれました。
一泊二日の駆け足ですが、マタギの湯・打当温泉に泊まって現役マタギの話を聴いたり、きりたんぽ作りに挑戦したり、カンジキを付けて雪山歩きしたり、、、さらに僕は別行動で、地元の鍛冶屋が作っている山刀(ナガサ)を注文しに行くことにしました・・・
現代文明は凄いですね。新幹線は秋田まで3時間で行ってしまう。
デビューしたばかりのスーパーこまち。かっこいいですねえ(+_+)
僕らが実際に乗ったのは後続のこちらですが。
乗ったら早速朝食と言いつつビール缶を2本ばかりプシュッ(^^)♪これが鉄道旅行の良いところですねっ。
角館で秋田内陸縦貫鉄道に乗り換え。僕的にはこのディーゼル機関車1両編成のローカル線の方が好きだけど(笑)
ガタゴトと田畑や山裾や渓谷(♪)を縫ってゆっくり進む。また缶酎ハイをプシュッ(^^)♪
埼玉の大宮駅を8時頃出発して、昼前にはもう阿仁マタギ駅に到着。
駅前にはなんにもない無人駅。
ホームの反対側にはオイシそうな渓流(^^)
待っていた送迎車に乗ると2~3分であっというまに打当温泉マタギの湯に到着。近代的な立派な建物でびっくり。もっとひなびた秘湯ちっくな宿かと思ってました(^^)ゞ
でも玄関前にはマタギ小屋があって、山の神が祀ってある。
ロビーに入るとさっそくツキノワグマがお出迎え。
奥には巨大な熊が! でもこれってヒグマだよねえ。
これにはちゃんと理由がありまして、「マタギ」という映画に出演した巨グマ君なのです。最期は剥製にされてしまったのですが・・・(>_<)
秋田出身・矢口高雄の原画が部屋の前に飾られていました。
釣りキチ三平を読んでいた子供の頃から、自然豊かな秋田は憧れの場所でした。
昼食は比内地鶏の親子丼。もちろん生ビールで乾杯(^^)♪
そのあと、きりたんぽ作り体験。こねこねするのがけっこう大変でした。
が、つくりたてに味噌ダレを付けて焼くと、とっても美味しかったデス(^^)信州の御幣餅に似てますね。
きりたんぽって元々はマタギの携行食だったんだそうです。残りは翌日の雪中鍋っこに使います。
温泉内にあるマタギ資料館でお勉強。
マタギナガサ(山刀)や熊の胆を伸す道具等は国の文化財に指定されているようです。
ナガサ、欲しいなあ。前から源流釣行の時に欲しかったんです。
マタギが命の次に大切にした道具。その心に触れてみたい。
釣り師にとっては竿がそんな存在だろうか。
マタギが夏に岩魚釣りに持っていくとしたらどんなフライロッドを使うだろうか? 今度、マタギ竿というコンセプトでロッドをデザインしてみようか。
夕方からはマタギ語り。
マタギ学校講師の鈴木英雄さんからお話を聴く。
マタギの文化、マタギの猟のこと、山の神のこと、森のヌシ・熊のこと、、、
二日間、NHKのディレクターさん(若い女性です)が参加。マタギ特集番組制作のための下見だとか。
マタギとは何者なのか?猟師、ハンターとはどう違うのか?ここで私の拙い文と知識で表現することはまだ難しいようです。
感じたのは自然を敬い、大切にし、己の欲を殺して、山の恵みを「授かる」=(マタギは獲ったと言わず授かったと言う)ことによって生かしてもらう、という考え方です。アイヌや北米先住民族などのかつての狩猟民族と共通した自然観のようなものを持ってるのだと思いました。
英雄さんの祖父辰五郎氏は打当マタギのシカリ(頭領)で、空気投げの辰の異名をとる人物だったそうです。なんでも辰五郎氏が手も触れずに熊を投げ飛ばしたのを見た仲間がそう呼ぶようになったんだとか。ご本人曰く実際は飛び掛かってきた熊が勢い余って自分を飛び越してしまっただけ、だそうですが、なんとも愉快ですね(^^)(現在でもシカリはいるのか?英雄さんはシカリなのか?を聞きそびれてしまいましたが)
昔も今も巻き狩りなどで獲ってきた熊はケボカイの儀式というものを行い供養と山の神への感謝を込め、独特の呪文を唱えた後、鈴木さんのお宅の前で解体して、「マタギ勘定」で=年功序列や猟での役割に関係なく、場合によっては参加してない仲間にも、平等に肉等を分けるのだそうです。
子供のころからそんな環境で育った英雄さんは山仕事を継いだこともあってマタギになりましたが、息子さんはサラリーマンで猟はしないのだとか。 現代では狩猟法等の規制や煩雑な規則があまりにもめんどうだし、猟をしても生計の足しになるわけでもなく、マタギになる若い人はほとんどいないそうです。
あらゆる伝統文化・職業で後継者難ですが、マタギもそうです。
滅びゆくマタギ文化をできるかぎり語り伝えたいという継承者としての誇り、といったものが鈴木さんの静かな語りから伝わってくるようでした。
熊の毛皮は意外にもほとんど値がつかないんだとか。裏地を当てたりの手間賃はそれなりに掛かるそうですが。
夕食はマタギの里料理「じゃんご料理」
またまたどぶろく、ビール、熱燗で乾杯~(^^)♪ 今日は一日中飲みっぱなしです(^^;)
山菜、きのこ、獣肉、川魚、、、山の幸づくしの素朴ながら美味しいものばかり。兎鍋が美味しかった(^^)次回は熊鍋を食べてみたいな。
一日マタギの世界に触れてみただけですが、
夜中、温泉に浸かりながら考えた。山の自然を崇拝し畏敬の念を抱きつつ、その恵みをちょっぴり授かって心の糧とする。
我々渓流釣り師にも「マタギの心」と共通するものがあるような気がします。
そうだ、我々は「渓流マタギ」なのだ。現代の山釣り師はもっとマタギの精神を学ばなければならない。。。(ちょっと酔ってたかも)
ますますこの山の民のことを知りたくなりました。
風呂は掛け流しのいいお湯でしたよ♪露天風呂の湯は熊の彫刻の口から出ていました(^^)
翌朝はカンジキを履いて雪山マタギ体験。
集落のすぐウラ、クマ牧場(そういう観光施設がある・熊冬眠のため冬季休館中)の脇から山へ登る。その辺は鈴木さんの猟場になっている。
雪がよく締まっている場所はカンジキ無しでも大丈夫。でも時々ズボッと膝まで潜る。まだ雪は2mくらい残っている。
高台からマタギの心の故郷、森吉山を望む。
植林された斜面を登り、一汗かいたところでなだらかな広葉樹の林に着いた。
ダケカンバの皮を幹が傷まぬよう薄く剥ぐ。これはいい焚き付けになるのだそうです。
後のお楽しみ、雪中鍋っこの支度。
先ほどの木の皮はホントに火付きが良い。一発で薪が燃えた。
鍋を火に掛けたらそこらへんを散策。けものの痕跡を探す。
ウサギの足跡。
ウサギのかじった跡。
鈴木さんが持っている藁でできた相撲の軍配を丸くしたような物、
一見何に使うんだか解りませんが、実は兎を獲る道具でワラダと云う。
ここで鈴木さんのリュックの中からウサチャンのぬいぐるみ登場(^^)
どうやって使うか実演して見せてくれました。
雪穴の傍にいる兎の上空へワラダをブーメランの如く飛ばすと、
猛禽類が飛んできたと勘違いした兎は雪穴に逃げ込む。そしたら穴を踏み固めてしまい、
右手に持っているスコップみたいな物で掘り出して獲物を手づかみにする。という冗談みたいな猟法なのでした(^^)
動物の習性を熟知したマタギならではの技ですね。
これは美味しい山菜、コシアブラの木。いつも気になっていたんですが、見つけたことがありませんでした。
「どこにでもあるよ」と鈴木さん。
熊が木登りした跡。これは子連れで、子グマに木登りを教えた場所だそうです。
こちらは意図不明の爪痕。縄張りの誇示のためにやったのかも?と鈴木さん。
山栗の木の上に熊棚。
熊が枝を折ってエサを食べつつ、お尻に敷いていくうちに鳥の巣状になったもの。これは雪のためにほとんど枝が落ちてしまっている。
その下に落ちていた熊が食べた栗の実の殻。上手に食べます。
さて、そろそろ鍋っこが出来上がりました♪ 昨日作ったきりたんぽも入ってます。
「雪中鍋っこ」はマタギ学校のメニューにあるものの、やるのは2年ぶりだとか。
希望者があまりいないようです。 でも、やってみるととっても楽しいし美味しいんです(^^)♪
これはお勧め。ぜひ体験してみてください。雪の中での焚火のやり方とか、勉強にもなりますし。
鈴木さんち自家製のバター餅も配られて、これまた美味しい♪
冷たくなっても柔らかいし鍋に入れてもイケル。元々阿仁マタギの携帯食だったらしい。
最近、知る人ぞ知る北秋田市の名物になっているようです。
この辺の道の駅やスーパーで見かけたらお試しください。
僕らはこっそりスパークリングワインを持参して雪に埋めて冷やしておいたが、これまたウマかった♪
午前中で楽しいマタギ体験も終わり、友人たちは角館観光へ。僕は反対方向の汽車に乗って阿仁前田の町へ。
車窓からは阿仁川や支流のいい流れが見えてワクワクする。夏になったらイワナ釣りに来たいなあ♪
車内販売のワゴンが来たので、「バター餅ありますか?」と聞いたら、あった(笑)
もちろんお土産に購入。
途中、沿線には比立内(ヒタチナイ)、笑内(オカシナイ)、桧木内(ヒノキナイ)、などアイヌ語の響きの地名が続く。
ここは蝦夷(えみし)の地なのだなあ。。。
阿仁前田駅前の西根鍛冶店へ。
マタギの鍛冶職人、西根登さんが作るナガサ(山刀)を買うのだ。
無造作に陳列してある刃物の鋼の鈍い輝きが何とも迫力だ。
鍬、鎌、鋏、鉈、包丁、山道具、野良仕事の道具なんでも作っている。
ナガサも実用一点張りの飾り気のない道具だが、だからこそ美しいと思う。
元は日本刀の刀鍛冶だったご先祖がこの地に移り住んで野鍛冶になったんだとか。
刀が武士の魂であるなら、ナガサはマタギの魂だろうか。
山へ入る時、これだけは絶対忘れてはならないとされているのがナガサだという。
僕は左利きで、通常の片刃では使えないので、両刃はどうだろうと思ったが(両刃なら竹割りに使えるし)
店番の奥さん曰く、関西の方は両刃が一般的で注文があるが、片刃の方が食い込みが良く切れ味がいい。
袋ナガサ(刀身と筒状の握りが同一素材で一体になっている構造が特徴・棒を付けて即席の槍にできる)はいかにもマタギっぽいが、タテ(槍)として使うことはまず無いので、より軽く握りやすくバランスが良いとされる樫の握りにした。
※「棒を付けて使う事は無いなあ、まあ高いとこのキノコを採るのには使えるかなあ」と鈴木さんは言っていたし、袋ナガサは1万円以上高いのです(^^;)
長さは何寸にしようか? 8寸もあると迫力があってカッコイイ、が、かなり重くなるし携帯性に劣る。
6寸だとハンティングナイフっぽく扱いやすそうだが、枝打ちや藪漕ぎで鉈の様に使いたい時物足りないかも。
で、7寸がよかろうと決めた。左用で片刃の7寸は在庫が無かったので制作依頼した。
5月の岩魚シーズンまでには出来上がるとのことなので楽しみだ。
奥さんに頼んで作業場を見せてもらった。
作りかけのナガサの刀身が束で置いてあった。
野鍛冶の作業風景見たかったけれど、今日はあいにくご主人不在。「昨日なら見てもらえたんだけど」と奥さん。
真っ赤になった刀を打って鍛えるシーンを想像した。
今度来たときはぜひ見学させてもらおう・・・
マタギの里・阿仁。夏になったら岩魚釣りに行きたいな。
ナガサと熊スプレーをぶらさげてネ(^^)b
汽車の時間まで10分ほどあったので、ふと思い出し、駅前のスーパーで熊よけの爆竹を買った。
釣友komさんが「秋田ではコンビニでも普通に売ってるよ」と言っていたがホントだった(笑)
※マタギ学校・・・興味のある方は打当温泉マタギの湯HPから見てみてください
ここはマタギ発祥の地で、現在でも少ないながらマタギとして狩猟を行い、その伝統や文化を守っていこうとしている人たちがいます。
今回、熊谷達也のマタギ小説に感化された友人がJRのマタギ体験ツアーを見つけて申し込んでくれました。
一泊二日の駆け足ですが、マタギの湯・打当温泉に泊まって現役マタギの話を聴いたり、きりたんぽ作りに挑戦したり、カンジキを付けて雪山歩きしたり、、、さらに僕は別行動で、地元の鍛冶屋が作っている山刀(ナガサ)を注文しに行くことにしました・・・
現代文明は凄いですね。新幹線は秋田まで3時間で行ってしまう。
デビューしたばかりのスーパーこまち。かっこいいですねえ(+_+)
僕らが実際に乗ったのは後続のこちらですが。
乗ったら早速朝食と言いつつビール缶を2本ばかりプシュッ(^^)♪これが鉄道旅行の良いところですねっ。
角館で秋田内陸縦貫鉄道に乗り換え。僕的にはこのディーゼル機関車1両編成のローカル線の方が好きだけど(笑)
ガタゴトと田畑や山裾や渓谷(♪)を縫ってゆっくり進む。また缶酎ハイをプシュッ(^^)♪
埼玉の大宮駅を8時頃出発して、昼前にはもう阿仁マタギ駅に到着。
駅前にはなんにもない無人駅。
ホームの反対側にはオイシそうな渓流(^^)
待っていた送迎車に乗ると2~3分であっというまに打当温泉マタギの湯に到着。近代的な立派な建物でびっくり。もっとひなびた秘湯ちっくな宿かと思ってました(^^)ゞ
でも玄関前にはマタギ小屋があって、山の神が祀ってある。
ロビーに入るとさっそくツキノワグマがお出迎え。
奥には巨大な熊が! でもこれってヒグマだよねえ。
これにはちゃんと理由がありまして、「マタギ」という映画に出演した巨グマ君なのです。最期は剥製にされてしまったのですが・・・(>_<)
秋田出身・矢口高雄の原画が部屋の前に飾られていました。
釣りキチ三平を読んでいた子供の頃から、自然豊かな秋田は憧れの場所でした。
昼食は比内地鶏の親子丼。もちろん生ビールで乾杯(^^)♪
そのあと、きりたんぽ作り体験。こねこねするのがけっこう大変でした。
が、つくりたてに味噌ダレを付けて焼くと、とっても美味しかったデス(^^)信州の御幣餅に似てますね。
きりたんぽって元々はマタギの携行食だったんだそうです。残りは翌日の雪中鍋っこに使います。
温泉内にあるマタギ資料館でお勉強。
マタギナガサ(山刀)や熊の胆を伸す道具等は国の文化財に指定されているようです。
ナガサ、欲しいなあ。前から源流釣行の時に欲しかったんです。
マタギが命の次に大切にした道具。その心に触れてみたい。
釣り師にとっては竿がそんな存在だろうか。
マタギが夏に岩魚釣りに持っていくとしたらどんなフライロッドを使うだろうか? 今度、マタギ竿というコンセプトでロッドをデザインしてみようか。
夕方からはマタギ語り。
マタギ学校講師の鈴木英雄さんからお話を聴く。
マタギの文化、マタギの猟のこと、山の神のこと、森のヌシ・熊のこと、、、
二日間、NHKのディレクターさん(若い女性です)が参加。マタギ特集番組制作のための下見だとか。
マタギとは何者なのか?猟師、ハンターとはどう違うのか?ここで私の拙い文と知識で表現することはまだ難しいようです。
感じたのは自然を敬い、大切にし、己の欲を殺して、山の恵みを「授かる」=(マタギは獲ったと言わず授かったと言う)ことによって生かしてもらう、という考え方です。アイヌや北米先住民族などのかつての狩猟民族と共通した自然観のようなものを持ってるのだと思いました。
英雄さんの祖父辰五郎氏は打当マタギのシカリ(頭領)で、空気投げの辰の異名をとる人物だったそうです。なんでも辰五郎氏が手も触れずに熊を投げ飛ばしたのを見た仲間がそう呼ぶようになったんだとか。ご本人曰く実際は飛び掛かってきた熊が勢い余って自分を飛び越してしまっただけ、だそうですが、なんとも愉快ですね(^^)(現在でもシカリはいるのか?英雄さんはシカリなのか?を聞きそびれてしまいましたが)
昔も今も巻き狩りなどで獲ってきた熊はケボカイの儀式というものを行い供養と山の神への感謝を込め、独特の呪文を唱えた後、鈴木さんのお宅の前で解体して、「マタギ勘定」で=年功序列や猟での役割に関係なく、場合によっては参加してない仲間にも、平等に肉等を分けるのだそうです。
子供のころからそんな環境で育った英雄さんは山仕事を継いだこともあってマタギになりましたが、息子さんはサラリーマンで猟はしないのだとか。 現代では狩猟法等の規制や煩雑な規則があまりにもめんどうだし、猟をしても生計の足しになるわけでもなく、マタギになる若い人はほとんどいないそうです。
あらゆる伝統文化・職業で後継者難ですが、マタギもそうです。
滅びゆくマタギ文化をできるかぎり語り伝えたいという継承者としての誇り、といったものが鈴木さんの静かな語りから伝わってくるようでした。
熊の毛皮は意外にもほとんど値がつかないんだとか。裏地を当てたりの手間賃はそれなりに掛かるそうですが。
夕食はマタギの里料理「じゃんご料理」
またまたどぶろく、ビール、熱燗で乾杯~(^^)♪ 今日は一日中飲みっぱなしです(^^;)
山菜、きのこ、獣肉、川魚、、、山の幸づくしの素朴ながら美味しいものばかり。兎鍋が美味しかった(^^)次回は熊鍋を食べてみたいな。
一日マタギの世界に触れてみただけですが、
夜中、温泉に浸かりながら考えた。山の自然を崇拝し畏敬の念を抱きつつ、その恵みをちょっぴり授かって心の糧とする。
我々渓流釣り師にも「マタギの心」と共通するものがあるような気がします。
そうだ、我々は「渓流マタギ」なのだ。現代の山釣り師はもっとマタギの精神を学ばなければならない。。。(ちょっと酔ってたかも)
ますますこの山の民のことを知りたくなりました。
風呂は掛け流しのいいお湯でしたよ♪露天風呂の湯は熊の彫刻の口から出ていました(^^)
翌朝はカンジキを履いて雪山マタギ体験。
集落のすぐウラ、クマ牧場(そういう観光施設がある・熊冬眠のため冬季休館中)の脇から山へ登る。その辺は鈴木さんの猟場になっている。
雪がよく締まっている場所はカンジキ無しでも大丈夫。でも時々ズボッと膝まで潜る。まだ雪は2mくらい残っている。
高台からマタギの心の故郷、森吉山を望む。
植林された斜面を登り、一汗かいたところでなだらかな広葉樹の林に着いた。
ダケカンバの皮を幹が傷まぬよう薄く剥ぐ。これはいい焚き付けになるのだそうです。
後のお楽しみ、雪中鍋っこの支度。
先ほどの木の皮はホントに火付きが良い。一発で薪が燃えた。
鍋を火に掛けたらそこらへんを散策。けものの痕跡を探す。
ウサギの足跡。
ウサギのかじった跡。
鈴木さんが持っている藁でできた相撲の軍配を丸くしたような物、
一見何に使うんだか解りませんが、実は兎を獲る道具でワラダと云う。
ここで鈴木さんのリュックの中からウサチャンのぬいぐるみ登場(^^)
どうやって使うか実演して見せてくれました。
雪穴の傍にいる兎の上空へワラダをブーメランの如く飛ばすと、
猛禽類が飛んできたと勘違いした兎は雪穴に逃げ込む。そしたら穴を踏み固めてしまい、
右手に持っているスコップみたいな物で掘り出して獲物を手づかみにする。という冗談みたいな猟法なのでした(^^)
動物の習性を熟知したマタギならではの技ですね。
これは美味しい山菜、コシアブラの木。いつも気になっていたんですが、見つけたことがありませんでした。
「どこにでもあるよ」と鈴木さん。
熊が木登りした跡。これは子連れで、子グマに木登りを教えた場所だそうです。
こちらは意図不明の爪痕。縄張りの誇示のためにやったのかも?と鈴木さん。
山栗の木の上に熊棚。
熊が枝を折ってエサを食べつつ、お尻に敷いていくうちに鳥の巣状になったもの。これは雪のためにほとんど枝が落ちてしまっている。
その下に落ちていた熊が食べた栗の実の殻。上手に食べます。
さて、そろそろ鍋っこが出来上がりました♪ 昨日作ったきりたんぽも入ってます。
「雪中鍋っこ」はマタギ学校のメニューにあるものの、やるのは2年ぶりだとか。
希望者があまりいないようです。 でも、やってみるととっても楽しいし美味しいんです(^^)♪
これはお勧め。ぜひ体験してみてください。雪の中での焚火のやり方とか、勉強にもなりますし。
鈴木さんち自家製のバター餅も配られて、これまた美味しい♪
冷たくなっても柔らかいし鍋に入れてもイケル。元々阿仁マタギの携帯食だったらしい。
最近、知る人ぞ知る北秋田市の名物になっているようです。
この辺の道の駅やスーパーで見かけたらお試しください。
僕らはこっそりスパークリングワインを持参して雪に埋めて冷やしておいたが、これまたウマかった♪
午前中で楽しいマタギ体験も終わり、友人たちは角館観光へ。僕は反対方向の汽車に乗って阿仁前田の町へ。
車窓からは阿仁川や支流のいい流れが見えてワクワクする。夏になったらイワナ釣りに来たいなあ♪
車内販売のワゴンが来たので、「バター餅ありますか?」と聞いたら、あった(笑)
もちろんお土産に購入。
途中、沿線には比立内(ヒタチナイ)、笑内(オカシナイ)、桧木内(ヒノキナイ)、などアイヌ語の響きの地名が続く。
ここは蝦夷(えみし)の地なのだなあ。。。
阿仁前田駅前の西根鍛冶店へ。
マタギの鍛冶職人、西根登さんが作るナガサ(山刀)を買うのだ。
無造作に陳列してある刃物の鋼の鈍い輝きが何とも迫力だ。
鍬、鎌、鋏、鉈、包丁、山道具、野良仕事の道具なんでも作っている。
ナガサも実用一点張りの飾り気のない道具だが、だからこそ美しいと思う。
元は日本刀の刀鍛冶だったご先祖がこの地に移り住んで野鍛冶になったんだとか。
刀が武士の魂であるなら、ナガサはマタギの魂だろうか。
山へ入る時、これだけは絶対忘れてはならないとされているのがナガサだという。
僕は左利きで、通常の片刃では使えないので、両刃はどうだろうと思ったが(両刃なら竹割りに使えるし)
店番の奥さん曰く、関西の方は両刃が一般的で注文があるが、片刃の方が食い込みが良く切れ味がいい。
袋ナガサ(刀身と筒状の握りが同一素材で一体になっている構造が特徴・棒を付けて即席の槍にできる)はいかにもマタギっぽいが、タテ(槍)として使うことはまず無いので、より軽く握りやすくバランスが良いとされる樫の握りにした。
※「棒を付けて使う事は無いなあ、まあ高いとこのキノコを採るのには使えるかなあ」と鈴木さんは言っていたし、袋ナガサは1万円以上高いのです(^^;)
長さは何寸にしようか? 8寸もあると迫力があってカッコイイ、が、かなり重くなるし携帯性に劣る。
6寸だとハンティングナイフっぽく扱いやすそうだが、枝打ちや藪漕ぎで鉈の様に使いたい時物足りないかも。
で、7寸がよかろうと決めた。左用で片刃の7寸は在庫が無かったので制作依頼した。
5月の岩魚シーズンまでには出来上がるとのことなので楽しみだ。
奥さんに頼んで作業場を見せてもらった。
作りかけのナガサの刀身が束で置いてあった。
野鍛冶の作業風景見たかったけれど、今日はあいにくご主人不在。「昨日なら見てもらえたんだけど」と奥さん。
真っ赤になった刀を打って鍛えるシーンを想像した。
今度来たときはぜひ見学させてもらおう・・・
マタギの里・阿仁。夏になったら岩魚釣りに行きたいな。
ナガサと熊スプレーをぶらさげてネ(^^)b
汽車の時間まで10分ほどあったので、ふと思い出し、駅前のスーパーで熊よけの爆竹を買った。
釣友komさんが「秋田ではコンビニでも普通に売ってるよ」と言っていたがホントだった(笑)
※マタギ学校・・・興味のある方は打当温泉マタギの湯HPから見てみてください
by troutriver
| 2013-03-31 23:15
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