2010年 11月 27日
羽舟竿 その弐 |
思いたって夕方、アポなしで桐生の中村羽舟師を訪問。
氏は80歳と聞いているので、もう寝ちゃってるかなあ?などと考えつつ。
住所を頼りに迷いながらたどりついたのは昔にタイムスリップしたかと錯覚するような裏通り。竹材がごちゃごちゃと置かれている店?らしきものを発見。なんとなくぼんやりと灯りが点いていて、覗くと作業中らしき師が見えました。うーん、入っていくの勇気いるなあ。戸が動かないし(汗
挨拶し、訪問の意図を話し、ワタシの入手した羽舟竿の事を教わりたいとお願いすると、師はおもむろに竿を取り出し眺め始めました。
うーん、これはだいぶ古い物だね、あまり使っていないようだけど。誰から買ったんですか?
おかしいな?2ティップのはずなんだけど?袋も違うし?いくらで買ったんですか?え!?○○万?当時○○万で出したんだよねえ。今、新しいのを同じ金額で作れますよ!買う前にうちに来てくれたらよかったのに。
どうやら何人かの手を経ていくうちに値段が吊り上ってしまったようで(苦笑)元値を調べずに買ってしまうワタシもアホですな(^^; しかし師に聞くと、バックオーダーを多く抱えていて、注文してから1年待ちだそうです。早く欲しい人は高くても買っちゃうかも。半分納得。
ご自分の竿がそんな高値でやりとりされていたと知って、中村氏も驚いてというか呆れてました(汗
現在は女竹でハリのある竿を中心に作っておられるとのこと。竹フェルールも六角で真鍮の補強が入っていない構造に進化?しているようです。
ワタシの竿を説明していただきました。
渓騒竿(けいそうかん)・・・ファーストオーナーがつけた名前だそうです。
山女魚 苦竹(真竹のこと) 本調子(パラボリック) 2047(シリアルナンバー)
7ft6inch 3番4番 羽舟作
師の考えでは真竹が釣竿には一番適しているそうです。しかし、フライロッドに一般的なオーブンによる火入れでは低温すぎてだめで、和竿式の高温の焼き入れによってのみ素材として使えるようになるのだとか。このやり方でフライ竿を作っているのは中村氏だけで、他1~2名が最近氏や和竿師に就いて火入れを学んでいるのだとか。
なお、竹フェルールを開発したのは中村氏が世界初だそうで、群馬の地方都市にそのような新進気鋭の竿師がおられるということにただただ驚くばかりです。
(近所にお住まいの島崎憲司郎氏とのコラボレーションが様々な革新を生み出しているということも忘れてはいけませんね!)
師いわく
「竹は一本一本が違いますから全く同じ竿は作ろうとしても作れないんです。また、同じものを何本も作っていたら飽きてしまうでしょう」
「新しいものを考えているのが好きなんですよ。お客さんの意向に沿ったものを作る自信はあります。難しい注文ほどやりがいがあるんです」
竿の取り扱い方も詳しく教えてくださいました。キャスティングについても。「明るい時に来てくれればいろいろ見てもらえたんだけどね」と言いながら店の前の道路でレクチャーを受けました。4番のラインを通す師。(内心、そんな太いラインで大丈夫なの?)ゆっくりと低反発竿のしなりが反るのを待つように振ります。トンキンのバンブーよりゆっくりとポーズを長く取り…。素振りの時はふにゃふにゃだった竿がラインを通して振ると、芯が通ったようにしっかりとして、なぜかしなりの角度が減るのです。普通に考えればラインの重さで素振り以上にグニャっと曲がるはずなのですが。不思議だ。そしてゆっくりとした竿の動きからは思いもよらない、ヒュイーンとラインが空気を切り裂く官能的な音。竿が硬く?なる現象について師は「わたしにもなぜかよくわからんのですが」とおっしゃっておりましたが(笑
氏は試作品のスプライスジョイントの竿も出してきて、「これはまだ島崎さんも振ってないんだけどね」と言いながら試し振りさせてくださいました。完全に竿が一体化し、強度面でもノートラブルとのこと。女竹製でトンキンに近い振り心地でした。しかし個人的には、真竹の超スロー・パラボリックアクションは、なんといってもやみつきになりそうな気持ちよさです♪
様々な竹を試しているという中村師。竹のこと、竿作りのこと、熱く語ってくださいました。
お忙しい中、本当にありがとうございました!
「ここに来ると、どんな竿を頼もうか迷ってしまう人が多いんですよ。長い人は朝10時から夜の11時までかかったです。もし注文する時は時間に余裕を持っていらっしゃい」と言いながら見送っていただきました。 その頃にはすっかり竿を1本頼もうと心に決めてしまいました(笑
※中村師も使っていたキネヤのカボスリール。真鍮製で羽舟竿には最高の組み合わせです!
ずっと前から、もし羽舟竿を手に入れたら、付けるのはこのリールしかないって思ってたんですよね。
氏は80歳と聞いているので、もう寝ちゃってるかなあ?などと考えつつ。
住所を頼りに迷いながらたどりついたのは昔にタイムスリップしたかと錯覚するような裏通り。竹材がごちゃごちゃと置かれている店?らしきものを発見。なんとなくぼんやりと灯りが点いていて、覗くと作業中らしき師が見えました。うーん、入っていくの勇気いるなあ。戸が動かないし(汗
挨拶し、訪問の意図を話し、ワタシの入手した羽舟竿の事を教わりたいとお願いすると、師はおもむろに竿を取り出し眺め始めました。
うーん、これはだいぶ古い物だね、あまり使っていないようだけど。誰から買ったんですか?
おかしいな?2ティップのはずなんだけど?袋も違うし?いくらで買ったんですか?え!?○○万?当時○○万で出したんだよねえ。今、新しいのを同じ金額で作れますよ!買う前にうちに来てくれたらよかったのに。
どうやら何人かの手を経ていくうちに値段が吊り上ってしまったようで(苦笑)元値を調べずに買ってしまうワタシもアホですな(^^; しかし師に聞くと、バックオーダーを多く抱えていて、注文してから1年待ちだそうです。早く欲しい人は高くても買っちゃうかも。半分納得。
ご自分の竿がそんな高値でやりとりされていたと知って、中村氏も驚いてというか呆れてました(汗
現在は女竹でハリのある竿を中心に作っておられるとのこと。竹フェルールも六角で真鍮の補強が入っていない構造に進化?しているようです。
ワタシの竿を説明していただきました。
渓騒竿(けいそうかん)・・・ファーストオーナーがつけた名前だそうです。
山女魚 苦竹(真竹のこと) 本調子(パラボリック) 2047(シリアルナンバー)
7ft6inch 3番4番 羽舟作
師の考えでは真竹が釣竿には一番適しているそうです。しかし、フライロッドに一般的なオーブンによる火入れでは低温すぎてだめで、和竿式の高温の焼き入れによってのみ素材として使えるようになるのだとか。このやり方でフライ竿を作っているのは中村氏だけで、他1~2名が最近氏や和竿師に就いて火入れを学んでいるのだとか。
なお、竹フェルールを開発したのは中村氏が世界初だそうで、群馬の地方都市にそのような新進気鋭の竿師がおられるということにただただ驚くばかりです。
(近所にお住まいの島崎憲司郎氏とのコラボレーションが様々な革新を生み出しているということも忘れてはいけませんね!)
師いわく
「竹は一本一本が違いますから全く同じ竿は作ろうとしても作れないんです。また、同じものを何本も作っていたら飽きてしまうでしょう」
「新しいものを考えているのが好きなんですよ。お客さんの意向に沿ったものを作る自信はあります。難しい注文ほどやりがいがあるんです」
竿の取り扱い方も詳しく教えてくださいました。キャスティングについても。「明るい時に来てくれればいろいろ見てもらえたんだけどね」と言いながら店の前の道路でレクチャーを受けました。4番のラインを通す師。(内心、そんな太いラインで大丈夫なの?)ゆっくりと低反発竿のしなりが反るのを待つように振ります。トンキンのバンブーよりゆっくりとポーズを長く取り…。素振りの時はふにゃふにゃだった竿がラインを通して振ると、芯が通ったようにしっかりとして、なぜかしなりの角度が減るのです。普通に考えればラインの重さで素振り以上にグニャっと曲がるはずなのですが。不思議だ。そしてゆっくりとした竿の動きからは思いもよらない、ヒュイーンとラインが空気を切り裂く官能的な音。竿が硬く?なる現象について師は「わたしにもなぜかよくわからんのですが」とおっしゃっておりましたが(笑
氏は試作品のスプライスジョイントの竿も出してきて、「これはまだ島崎さんも振ってないんだけどね」と言いながら試し振りさせてくださいました。完全に竿が一体化し、強度面でもノートラブルとのこと。女竹製でトンキンに近い振り心地でした。しかし個人的には、真竹の超スロー・パラボリックアクションは、なんといってもやみつきになりそうな気持ちよさです♪
様々な竹を試しているという中村師。竹のこと、竿作りのこと、熱く語ってくださいました。
お忙しい中、本当にありがとうございました!
「ここに来ると、どんな竿を頼もうか迷ってしまう人が多いんですよ。長い人は朝10時から夜の11時までかかったです。もし注文する時は時間に余裕を持っていらっしゃい」と言いながら見送っていただきました。 その頃にはすっかり竿を1本頼もうと心に決めてしまいました(笑
※中村師も使っていたキネヤのカボスリール。真鍮製で羽舟竿には最高の組み合わせです!
ずっと前から、もし羽舟竿を手に入れたら、付けるのはこのリールしかないって思ってたんですよね。
by troutriver
| 2010-11-27 23:36
| 道具のこと